「AZ-104: Microsoft Azure Administrator」。
Microsoft社が運営するAzureクラウドサービス向けの認定試験です。合格すると、Microsoft社公認のAzure 管理者(Microsoft Certified: Azure Administrator Associate)を名乗ることができます。
今回、2023年4月26日にAZ-104に合格しましたので、AZ-104の勉強方法や参考になった問題集と参考書を紹介します。
自分はAzure以外にも、AWS SAA-C02、Oracle OCPなど「ベンダ系資格」を中心に取得し、キャリアに役立てています。ベンダ系資格を所有していると、社内でも一目置かれる存在になることはもちろん、お客様からも信頼される様になるなど、仕事上のメリットは大きいと感じています。
ぜひ本記事を参考に、AZ-104に挑戦してみてください。
AZ-104とは?
「AZ-104」とは、Microsoft社が運営するクラウドサービス「Azure」の認定資格試験です。
正式名称は「AZ-104: Microsoft Azure Administrator」。
この資格試験は、Azure管理者の能力を認定するためのものです。合格後は「Microsoft Certified: Azure Administrator Associate」を名乗ることができます。
クラウドサービスは、登場から10年以上が経過していますが、自社のデータセンターを持たずにサービスを提供できるお手軽さなどから、現在も導入が進んでいます。
AZ-104の試験概要
Azureの資格では、出題範囲と試験の中で占める割合が明確に定義されています。
AZ-104の出題内容と試験の中で占める割合は以下の通り:
試験時間 | 120分 |
問題数 | 50問前後 |
難易度 | 中級(Azure未経験でも合格は可能なレベル) |
合格点 | 1000点満点中700点以上 |
出題内容と試験の中で占める割合 | Azure ID とガバナンスを管理する (15 - 20%) |
ストレージを実装して管理する (15 - 20%) | |
Azure のコンピューティング リソースのデプロイと管理 (20 から 25%) | |
仮想ネットワークの構成と管理 (20 - 25%) | |
Azure リソースの監視と管理 (10 - 15%) |
試験内容は、およそ3カ月に1回更新されますが、過去数回の更新では、上記の割合が少し変わるぐらいで、大きな変化はありませんでした。
Microsoft社の提供するクラウドサービス「Azure」の資格をなぜ取得するのか
クラウドサービスのシェアは、以下の通り、AWS、Azure、Google Cloudの3社がトップ3を占めています:
Microsoftがクラウドサービスに参入したのは、Amazonよりも遅かったのですが、これまでのエンタープライズ系サービスを支えてきた実績が評価され、徐々に伸びています。
今後も、Azureは伸びていくと思われますので、現在Azure以外のクラウドのエンジニアをされている方も、これからクラウドエンジニアを目指す方も、AZ-104の取得を目指した方がよいでしょう。
Azure系の資格一覧
Azure系の資格は、AZ-104以外にも、多く存在します。2023年4月現在のAzure系の資格を以下に示します:
- 初心者向け
- AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentals
- DP-900: Microsoft Azure Data Fundamentals
- AZ-900: Microsoft Azure Fundamentals
- SC-900: Microsoft Security, Compliance, and Identity Fundamentals
- 62-193: Technology Literacy for Educators
- 中級者向け
- AI-102: Designing and Implementing a Microsoft Azure AI Solution
- AZ-104: Microsoft Azure Administrator
- AZ-120: Planning and Administering Microsoft Azure for SAP Workloads
- AZ-140: Configuring and Operating Microsoft Azure Virtual Desktop
- AZ-204: Developing Solutions for Microsoft Azure
- AZ-220: Microsoft Azure IoT Developer
- AZ-500: Microsoft Azure Security Technologies
- AZ-600: Configuring and Operating a Hybrid Cloud with Microsoft Azure Stack Hub
- AZ-700: Designing and Implementing Microsoft Azure Networking Solutions
- AZ-720: Troubleshooting Microsoft Azure Connectivity
- AZ-800: Administering Windows Server Hybrid Core Infrastructure
- AZ-801: Configuring Windows Server Hybrid Advanced Services
- DP-100: Designing and Implementing a Data Science Solution on Azure
- DP-203: Data Engineering on Microsoft Azure
- DP-300: Administering Microsoft Azure SQL Solutions
- DP-420: Designing and Implementing Cloud-Native Applications Using Microsoft Azure Cosmos DB
- DP-500: Designing and Implementing Enterprise-Scale Analytics Solutions Using Microsoft Azure and Microsoft Power BI
- MB-260: Microsoft Customer Data Platform Specialist
- SC-200: Microsoft Security Operations Analyst
- SC-300: Microsoft Identity and Access Administrator
- 上級者向け
- AZ-305: Designing Microsoft Azure Infrastructure Solutions
- AZ-400: Designing and Implementing Microsoft DevOps Solutions
- PL-600: Microsoft Power Platform Solution Architect
- SC-100: Microsoft Cybersecurity Architect
AZ-104、AZ-305に合格すると、Microsoft Certified: Azure Solutions Architect Expertに認定されます。
AZ-104は、Azureのサービス全般に関する試験となっています。そのため、まずはAZ-104の合格を目指して、Azureの全体像をつかみ、その後AZ-305の合格を目指すとよいでしょう。
Azureの資格試験は、頻繁に出題範囲が変更されるため、定期的にAzure公式サイトを確認する様にしましょう。
AZ-104は、直近の4月27日に変更されていますが、出題範囲の変更はほとんどありませんでした。
AZ-104は難しい
Google検索をすると「AZ-104 難しい」などのキーワードが出てくるため、ドキドキするかもしれません。
AZ-104は、Azure 中級者向けのの資格となるため、難易度は難しい方に入ります。しかし、AZ-104は、勉強の仕方を間違えなければ確実に合格できる試験です。
ここでは、AZ-104の難易度と合格が不可能ではない理由を説明します。
AZ-104の難易度が高い理由
AZ-104の難易度が高い理由は、Azureが提供するサービスを網羅的にカバーして出題するためです。
また、Azure以外のクラウドサービスにもいえることですが、これまでオンプレ(自社でデータセンターを用意してサービスを提供する形式)環境を構築・運用するために必要であったネットワーク、サーバ、ミドルウェアの知識が必要となるため、これらを理解していなければいけないところが難易度を高くしています。
例えば、5 tuple(ファイブ・タプル)、3 way handshake(スリーウェイハンドシェイク)、Layer 4(レイヤー4)、Layer 7(レイヤー7)など、ネットワークの用語がさらりと、試験にも、参考書にも出てきます。
こういった基礎的な概念は確実におさえておく必要があります。
AZ-104は難易度は高いが、取得は不可能ではない
上記の様に、AZ-104は難易度は高くなっていますが、取得は不可能ではありません。
理由は、AZ-104は、IT用語・Azure用語・概念・構築手順を押さえておけば受かる試験であるため。こういった用語、概念、構築手順を一つ一つ確実に押さえていけば、試験合格は確実に達成できます。
また、AZ-104には計算が必要な問題はほぼ出題されません(出題されても、簡単な足し算・引き算レベル)。
ほぼすべての受験者が、問題集や参考書を通して勉強すると思われるため、IT用語・Azure用語・概念・構築手順を押さえていけば、必ず合格できます。
AZ-104用の問題集・参考書(参考になるサイト)
AZ-104を合格するには、良質な問題集や参考書が欠かせません。
ただ、日本語で書かれた良質な問題集や参考書は多くありません。また、試験問題が約3カ月に一回の高頻度で更新されるため、書籍での学習はオススメしません(基礎的な部分の学習という意味では役に立ちますが、書籍だけでは合格できないと思われます)。
自分がAZ-104を合格するために編み出した勉強方法や使用した問題集は次章で説明します。
ここでは、参考になる学習サイトを中心に、AZ-104でおすすめの問題集や参考書(参考サイト)を紹介します。ほぼ英語ですが、一度慣れてしまえば、英語での学習もそこまで悪くありませんのでオススメです。
TutorialsDojo (問題集+参考書・参考サイト)
AZ-104で本当におすすめの問題集は「TutorialsDojo」(英語)。問題集は「$14.99」(約¥2100)と良心的。
Tutorials Dojoは、AWSの試験対策として世界中の人から認められたサイトです。Azureコンテンツは少ないですが、AZ-104の問題集は提供されています。
Tutorials Dojoの問題数は、50問1セットのものが3つ、また、その中からカテゴリ別に分けられたもの、単語帳、重要なポイントを押さえた画像集が提供されています。各問題には、正解となぜ正解なのか、更に深く学習するためのAzureサイトが紹介されています。間違えた問題は、ここで何度も学習することにより、確実に合格に近づくことができます。
更に、試験問題が更新されても、すぐに最新版へと対応するため、安心して使い続けることができます。
また、一度購入すれば、有効期限はないため、いつまでも使用できます。自分がSAA-C02を受験するために2020年に購入したものは、ご丁寧にSAA-C03版にアップグレードされて使える様になっています。
MS Learn (問題集+参考書・参考サイト)
「MS Learn」は、Microsoft社が提供する学習サイトです。
すべて無料で使えるので、問題集で分からない点は必ず、MS Learnで理解できるまで確認する様にしましょう。
Udemy (問題集+参考書・参考サイト)
Udemyは、試験対策をユーザが作成して、一般に公開できる仕組みです。
Udemyの中でも、人気の試験や解説サイトは、人気度を見ればわかる様になっています。
海外でも大人気・高評価のUdemyページは「Alan Rodrigues氏のサイト 」(英語)となります。
Alan Rodrigues氏のコースでは、2つの演習テスト(合計約200問)に加え、オンデマンドビデオが提供されています(英語)。また、AZ-104のトピックを詳細にカバーした記事も提供されています。
金額は¥19,800と安くありませんが、TutorialsDojoと併せて使えば、一発合格も夢ではありません。合格後のキャリアを考えると、十分に元は取れるといえるでしょう。
AZ-104おすすめの参考書・参考YouTube
最近は、YouTubeでも、良質なコンテンツが提供される様になりました。
その中でも、John Savills氏のYouTube動画は、色々と細かく説明してくれているため、一通り確認することをオススメします。
John Savills氏のYouTubeページはこちらからどうぞ。
John Savills氏の動画はすべて英語ですが、YouTubeの自動翻訳機能を使えば、日本語字幕を画面下部に表示させることができます。
AZ-104合格体験記!AZ-104合格までに必要な時間と勉強方法
ここでは、僕がAZ-104に合格した体験を詳細に説明します。
AZ-104の合格までにかかった時間~効果的な勉強方法まで記載していますので、有益な情報だと思います。
AZ-104合格までにかかった時間
AZ-104合格までには「117時間8分」(7028分)かかりました。
試験当日まで勉強していたので、ギリギリの勉強時間だったと思います。
AZ-104に合格するまでの勉強方法
自分は、資格勉強を開始すると、よほど仕事でトラブったり、酔いつぶれたりしない限りは、試験日まで毎日勉強して、勉強時間・内容を記録していきます。
毎日やることで、知識が身に付くスピードも速くなるので、結果的に資格取得までの時間が短くなります。
また、自分は参考書よりも、知識ゼロの状態でいきなり模試を解いていく勉強スタイル。当然最初は、解けないので点数もよくありませんが、徐々に改善されていきます。模試で間違えたところを中心にMS LearnやTutorialsDojoなどの説明を読んで、理解を深めていきます。間違えた部分だけに集中することにより、不足している部分を効率的に補うことができます。
以下の様な形でLibreOffice(エクセルの様なソフト)に、勉強時間、解いた数と時間を日毎に記載していきます:
次のシートでは、自分がよく理解できていない項目を列挙し、説明が必要なところは追記していきます:
この勉強方法をかれこれ16年以上、貫いています。自分のプロフィールに、このスタイルで合格した資格一覧を記載していますので、もしよければ一度ご確認ください。
AZ-104で一番効果を実感した勉強方法
TutorialsDojoのテストをひたすら受ける。不明な点は記録して、理解するまでTutorialsDojoの解説を読んだり、MS Learnのサイトを調べる。これが一番効果的でした。
TutorialsDojoのテストのスコアも日に日に上がっていくことが実感できます。
また、試験日時を予約するページから、マイクロソフト社公認の模試を受けることができます。マイクロソフト社は、この模試の内容は試験にそのまま出題されないとしていますが、実際にはかなり近い形式で本番テストも出題されます。
自分は、受験の1週間前から模試を受け続けて、準備しました。マイクロソフト社は80点以上を取得できる様になってからの受験を推奨しています。必ず本番試験を受験する前に、80点は取れる様にしておきましょう(自分は90点台前半を取れる様になってから、本番試験を受けました)。
AZ-104合格後の注意点
AZ-104合格後、注意が必要なのは、更新期間。AZ-104は有効期限が定められており、1年間しか有効ではありません。
2年目も有効期間を保持するためには、有効期限が切れる半年~有効期限までの間に、再受験が必要となります(AZ-900は、基礎認定資格となっているため、有効期間はありません。ただAZ104やその上位の資格と比較すると、資格としての価値はあまりありません)。
有効期限内の更新は無料で、合格するまで何回受験してもOKです。しかも、教材持ち込みも認められているので、ハードルは高くありません。
認定資格の更新プロセスに関しては、Microsoft社が詳細な情報をFAQとしてまとめています。「更新についてよくあるご質問 (FAQ)」から確認できますので、事前に確認することをおすすめします。
AZ-104は通過点。取得した後は更なる挑戦を!
今後クラウドは、ITにおいて必要不可欠なものとなります。
オンプレ環境で頑張っている方も、AZ-104を取得しておけば、会社の急な方針転換で自社環境のAzure化が決まっても、落ち着いて対応できるでしょう。
Express Route、Site to Site VPNを使用して、オンプレとAzureをつないで運用することは十分に考えられます。また、Azure File ShareやAzure Import/Exportの様に、オンプレ環境のデータをAzureに持っていく作業も発生します。
VPNのメリットは、使ってみないことにはわかりづらいと思うので、コンシューマ向けの「NordVPN」を購入して、使ってみてもよいと思います。NordVPNの詳細は「神VPN:NordVPNを徹底的に解説!」をご確認ください。
AZ-104を取得していれば、こういった場合に何をすればよいのか分かる様になります。
AZ-104取得後は、更に上位資格AZ-305などを狙い、更に価値を高めると、キャリアにもプラスになります。また、会社からもやる気を評価されやすくなるため、お給料アップも狙えます。
ご自身のキャリアのためにも、ぜひAZ-104の取得を目指してください。
以上です。