
anonaboxは、Tor ネットワークを経由でインターネットにアクセスすることにより、インターネット上での匿名性とプライバシーを保護するネットワーク デバイスです。
小型のルーターとして提供されるanonaboxは、ユーザーのオンライン活動のプライバシーを保護し、インターネットが厳しく制限されている国での検閲を回避するために使用できます。
インフルエンサーからも度々紹介されているanonaboxですが、セキュリティ上の問題で批判された結果、現在では販売停止となっています。
インターネット回線を完全に匿名にするルーター「anonabox」を漫画村運営時に使っていた。これを使うとIPアドレスから身バレを防ぐ事ができる。欠点は俺みたいに別の要因でバレて捕まるバカまで守れない事。 pic.twitter.com/zDYZq4TQAn
— 星野ロミ 漫画村を作って捕まった人 (@romi_hoshino) January 17, 2023
anonaboxがクラウドファンディングサイト「KickStarter」に載せていた動画は、今でも閲覧することができます。anonaboxが動作する仕組み、提供する機能や使い方などを説明しています。
本記事では、過去に販売されていたanonaboxの特徴、またanonabox以外の方法で「インターネット上で匿名性を維持する方法」をご紹介します。
そもそもTor、Torネットワークって何?という方は「Torとは?最強の匿名化ツールを徹底解説」で詳細を説明していますので、こちらもご確認ください。
最近は、anonaboxの様なデバイスよりも、「NordVPN(ノードVPN)」の様なソフトウェアを使用して「インターネット上で匿名性を維持」する方が圧倒的におすすめです。その理由は後述します。
anonaboxの特徴

anonaboxの特徴は、以下5つです。
- 手軽にTorネットワーク経由でインターネットに接続できる
- 手のひらサイズ
- Torブラウザよりも高速
- 複雑な設定が不要で、Skype、SafariなどをTor経由で使用できる
- オープンソース・オープンハードウェアによる開発
それぞれを詳しく説明します。
手軽にTorネットワーク経由でインターネットに接続できる
anonaboxの一番の特徴は、技術的なことが何もわからない状態でも、気軽にTorネットワークを経由して、インターネットにアクセスできること。
これにより、簡単に、安全に、匿名で、インターネットにアクセスできます。
Torネットワークに接続するには、ある程度のブラウザの知識や通信の知識が必要になりますが、anonaboxがあれば、簡単にTorネットワークにアクセスできます。
手のひらサイズ
anonaboxは、第一世代こそ普通のパソコンと同じぐらいのサイズでしたが、現在では、手のひらサイズで提供されています。
どこにも、お気軽に持っていき、使用できる様になっています。
Torブラウザよりも高速
Torブラウザは、Torネットワークに接続する以外にも、ブラウザとしてページを表示をしたり、音楽を再生したり、ということをソフトウェアとして実現しています。
anonaboxを使用すると、ハードウェアの性能をフル活用として、Torネットワークへ接続するため、Torブラウザよりも高速にインターネットにアクセスできる様になります。
複雑な設定が不要で、Skype、SafariなどをTorネットワーク経由で使用できる
Torネットワークを経由して、SkypeやSafariなどのソフトウェアを使用するには、専門の知識が必要となります。
anonaboxを使用することにより、そういった知識を必要とせずに、各種ソフトウェアをTorネットワーク経由で使用できる様になります。
オープンソース・オープンハードウェアによる開発
anonaboxは、ハードウェアから通信部分まで、すべてオープンソース、オープンハードウェアで開発されています。そのため、他のネットワーク機器と比較すると、未知の脆弱性も少ないといわれています。
また、すべてオープンで開発されているため、開発者が独自のソフトウェアを導入することも可能な仕様となっています。
上記の様な特徴を持つanonaboxは、2014年にクラウドファンディングの「Kickstarter」を通じて60万ドル以上の資金調達に成功しました。
しかし、その後に、同社がデバイスの機能を誤って伝えていたこと、およびデバイスのテクノロジーの一部が実際には中国のメーカーから調達されたものであることが明らかになりました。
その結果、支援者の反発を招き、事態を重く見たKickstarter側がキャンペーンを停止しました。
更に、独立したセキュリティ研究者がデバイスに多数のセキュリティの脆弱性を発見し、会社の評判をさらに落とす結果に。
anonaboxによる不誠実な対応の結果、最終的に同社は廃業します。
しかし、同社が作成したanonaboxデバイスは、簡単にインターネット上で、匿名による通信を実現できたため、高い評価を得ており、現在も高値で取引されています。
anonaboxが出た当時は、確かに他に匿名による通信を実現するものはありませんでしたが、最近では、ソフトウェアで同じ様な機能を提供するものが出ています(詳細は後述)。
anonaboxの終焉 - 匿名化を他のツールで実現する方法


anonaboxは、現在製造が中止され、anonaboxのウェブサイトもアクセス不能となっています。
しかし、anonaboxが世に登場してから約10年が経過しており、anonaboxと同機能を持つものは、ソフトウェアとして提供されています。
ここでは、anonaboxと同機能かそれ以上の機能を提供するデバイス、ソフトウェアをご紹介します。
Torルータ
Torルータは、すべてのインターネットアクセスをTorネットワーク経由で行うために設計されたルータです。
検閲を回避し、オンライン活動のプライバシーを保護するために使用できるという点で、anonaboxと同じ機能を提供しています。
Torルータの難点は、日本国内からは入手しづらいということ。
実際に、少しGoogle検索をしたり、Amazonで商品を探してもすぐには見つけることができないと思います。
ざっと検索しても、見つかるのは取り扱いが難しいThorぐらいでしょうか。
こちらは、海外から購入・調達することになるため、おすすめしません。
動作しないなどのトラブルがあった時も、サポートがしっかりしているか分からず不安な点が残ります。
英語ができる方は、Amazonから入手できるGL.iNetが提供しているTorルータがよいかもです。
VPNルータ
VPN(仮想プライベート ネットワーク)ルータを使用して、インターネット トラフィックを匿名化できます。
しかし、VPNルータは日本国内では、Torルータ以上に手が入りにくいため、こちらもおすすめしません。
Torルータで紹介した以下がなんとか使用できるかも、というところでしょうか。
Tails OS

Tails OSは、「Torネットワーク経由でインターネットにアクセスできる」LinuxというOSです(OSとして他に有名なものには、WindowsやMacがあります)。
Tails OSは、アメリカのエシュロンやプリズムの存在を全世界に告発したエドワード・スノーデン氏も使用していたことで有名です。
Tails OSは、USBドライブで実行できるため、どのコンピューターでも使用できますが、コマンドベースのOSとなるため、Linuxに慣れていない方にはおすすめできません。
一応GUIも提供されていますが、WindowsやMacと比較すると著しく使い勝手が悪くなっています。
興味のある方は「Tails OSのウェブサイト」から入手できますのでどうぞ。
VPNソフトウェア(一番おすすめ)
VPNソフトウェアは、anonaboxが実現できることをソフトウェアで実現したものです。
Torを経由する代わりに、VPNプロバイダが用意したサーバを経由して、インターネットにアクセスします。
VPNプロバイダが用意したサーバを経由して安全か?と思われる方もいると思いますが、ノーログポリシーを徹底しているVPNプロバイダであればOK。
ノーログポリシーを採用しているVPNプロバイダは、VPNサーバを経由したアクセスをログに残しておらず、匿名でインターネットにアクセスできる様になっています。
VPNを悪用したユーザの履歴をたどろうとして、VPNプロバイダのサーバを押収したところ、ログが残っていなかった事件も発生しています。
今はパソコンの性能も、昔とは比較にならないほどよくなっていますし、デバイスを使用するよりも、ソフトウェアを使用する方が現実的だと思います。
VPNプロバイダは数多く存在しますが、おすすめは、最大手のノーログVPNプロバイダ「NordVPN(ノードVPN)」です。
NordVPNの詳細を知りたい方は「神VPN:NordVPNを徹底的に解説!」で説明していますのでどうぞ。
VPNソフトウェアは、「自動起動を設定」し、更に「キルスイッチ」機能を有効にしておけば、インターネットにアクセスする際は、必ずVPN経由で接続できる様になります。
また、「NordVPN(ノードVPN)」の様に、VPNサーバを経由して、Torネットワークに接続する機能を提供しているVPNプロバイダもいます。
この様なVPNプロバイダを使用することで、安全に、匿名でインターネットにアクセスできる様になりますので、anonaboxを探していた方は、ぜひVPNプロバイダの使用を検討してみてください。
以上です。