Googleが提供しているGoogle AnalyticsやGoogle Search Consoleなどのサービスからデータを取得して、自分のサイトを分析したり、一か所に表示したいと思ったことはありませんか?
Google Data Studioを使用すれば、そういったことが簡単にできます。
Google Data Studioは、自由度が高く、Google AnalyticsとGoogle Adsを組み合わせて、平均クリック単価(1クリックに対するGoogleへの支払額)を計算し、広告の費用対効果を求める様なこともできます。
本記事では、以下の前提のもと、Google Data Studioの使い方について説明します:
・使用ブラウザは、Google Chrome
・運用中のサイトでGoogle Analyticsを活用中
Google Data Studioとは
Google Data Studioとは、Googleが提供しているツールの一つで、Google Analyticsなどのデータを基にレポートを作成できるものです(BIツールといったりもします)。無償版のGoogle Data Studioと有償版のGoogle Analytics 360 suiteがあります。
2016年にサービス提供を開始したGoogle Data Studioは、継続して機能拡張されています。過去には、作成できるレポートの数に制限がありましたが、今は無制限に作成できる様になっています。無償版ではありますが、Googleが提供しているデータを集約して、分析できる様になっているため、Webサイトの集客アップや売上アップのためには必要不可欠なツールとなっています。
Google Data Studioの特徴は、以下の通りです:
- 多様なデータソースからデータを取得できる
- データを視覚的に、分かりやすく表現できる
- 豊富なテンプレートからサクッとレポートを作成できる
- 作成したレポートは、すぐに共有できる
それぞれの詳細を以下で説明します。
多様なデータソースからデータを取得できる
Google Data Studioでレポートを作成する時に、レポートに表示する元となるデータのことをデータソースと呼びます。複数のデータソースからデータを取得し、一つのレポートに出力できます。データソースは、大きく分けると、Google ConnectorsとPartner Connectorsの2種類あります。
Google Connectors
Google Connectorsは、Googleが提供しているデータソースで、2021年9月時点では以下の通り、19個あります:
Google Connectors一覧
- Google アナリティクス
- Google 広告
- Google スプレッドシート
- BigQuery
- Cloud Spanner
- Cloud SQL for MySQL
- Google Cloud Storage
- Google アドマネージャー
- Google サーベイ
- MySQL
- PostgreSQL
- Search Console
- YouTube アナリティクス
- Tables by Area 120
- キャンペーン マネージャー
- ディスプレイ&ビデオ360
- データの抽出
- 検索広告 360
- ファイルのアップロード
Partner Connectors
Googleのパートナーから提供されているデータソースで、400以上あります。中には、「不明なコネクタ」という、文字通り意味不明なコネクタもありますw
データを視覚的に、分かりやすく表現できる
Google Data Studioでは、データソースを基にグラフやコントロールという、視覚的に分かりやすい形式でデータを表現できます:
グラフ一覧
- 表
- スコアカード
- 期間
- 棒
- 円
- Google Map(世界地図)
- マップチャート
- 折れ線
- 面
- 散布図
- ピボットテーブル
- ブレット
- ツリーマップ
- ゲージ
コントロール一覧
- プルダウンリスト
- 固定サイズのリスト
- 入力ボックス
- 高度なフィルタ
- スライダー
- チェックボックス
- 期間設定
- データ管理
豊富なテンプレートからサクッとレポートを作成できる
Google Data Studioには、テンプレート化されたレポートがあり、それをベースにレポートを作成することも可能です。見た目もかなりいい感じになっています。Google Data Studioに限らず、レポートツールは、見た目やレイアウトを整える作業に時間がかかるので、こういったテンプレートがあると助かります。
作成したレポートは、すぐに共有できる
レポートは、Googleのクラウド上に保管されているため、設定を少し変更するだけで、すぐに関係者に共有できます:
レポート共有メニュー
- 他のユーザーを招待
- メール配信をスケジュール
- レポートへのリンクを取得
- レポートを埋め込む
- レポートをダウンロード
Google Data Studioの基本的な使い方(ゼロからレポートを作成する場合)
Google Data Studioを使うための流れは、以下の通りです。Google Data Studioに限らず、他のレポートツール(Microsoft社製のSQL Server Analysis ServicesやJasperSoft社製のJasper Reports等)も同じ様な流れになります:
- Google Data Studioにアクセス
- データソースに接続
- データから必要なものを選択・加工
- データのビジュアライズ(一覧化やグラフ化)
- レポートの表示・PDF出力・共有
詳細を順に説明します。
1. Google Data Studioにアクセス
まずは、こちらからGoogle Data Studioにアクセスし、「USE IT FOR FREE」ボタンを選択→Googleにログインします。
既にGoogleにログイン済の場合は、以下の様にGoogle Data Portalのトップページが表示されます。
2. データソースに接続
Google Data Portalのトップページから、レポートで使用するデータソースに接続します。手順は以下の通りです:
メニュー選択
レポートのベースとなるデータソースを指定するため、「作成」→「データソース」を選択します。
アカウントの設定(初回のみ)
初めてレポートを作成する場合は、アカウントを設定する必要があります。まずは、表示されるダイアログボックス上の「国」には「日本」を選択、「利用規約」のチェックボックスにチェックを入れて、右下の「続行」ボタンを押下します。
次に、メールの設定を行います。
僕は、googleからメールを受け取りたくないので、すべて「いいえ」を選択して、右下の「続行」ボタンを押下しましたw
データソースを選択
データソースの一覧画面が表示されます。 Google ConnectorsとPartner Connectorsの2種類の中から選択できます。 ここでは、Google Connectorsの左上にある「Google アナリティクス」を選択します。
初回のみ、Google Data PortalにGoogle Analytics アカウントへのアクセスを承認するための確認画面が表示されます。画面下部の「承認」ボタンを押下します。
アカウント、プロパティ、表示の一覧が表示されます。複数ある場合は、レポートで使いたいものを選択して、画面右上の「接続」ボタンを押下します。
レポートに出力できるディメンション(情報のカテゴリ)の一覧が表示されます。凄い数が表示されますが、そのままの状態で画面右上の「レポートを作成」ボタンを押下します。
選択したGoogle Analyticsのデータソースをレポートに追加してもよいか、確認ダイアログが表示されるので、「レポートに追加」ボタンを選択します。
新規作成したレポートに、Google Analyticsから取得したデータが表形式で表示されます。2021年8月時点では、データソースとしてGoogle Analyticsを選択すると、以下の表が出力されますが、将来的にデフォルトで出力されている内容は変更される可能性があります。
3. データから必要なものを選択・加工
データソースに接続後、取得できるデータから必要なものを選択・加工します。ここでは、データソース選択後に表示されている表に、「新規セッション率」の項目を追加する手順を説明します。「新規セッション率」を表に出力することにより、Webサイトにアクセスのあった全体のセッションのうち、新規セッション(初めてサイトに訪問したユニークユーザ)の割合が分かる様になります:
表を選択
項目を追加する表を選択します。画面右端に 「グラフ > 表」 (表の情報)が表示されます。レポート上の表の位置は、自由に変更できます。
「グラフ > 表」で設定できる内容の詳細
「グラフ > 表」で設定できる項目の詳細を説明します(レポート上の表の位置を左端から右端に移動しています)。
【「グラフ > 表」で設定できる項目】
- データソース
表に出力しているデータのデータソース。変更することも可能 - ディメンション
出力できる情報のカテゴリ。右端の「使用可能な項目」からドラッグアンドドロップで指定 - 指標
ディメンションをどの様な切り口で確認するかを指定。例えば、右の表であれば、ブログのページタイトル毎の新規ユーザー数など。集計関数(SUM, COUNT, AVG)を指定して、集計結果を出力することもできる - ページあたりの行数
1ページあたりの表示行数 - 集計行
表の下部に、集計行を出力。右の表でチェックを入れると、新規ユーザー数を足した合計を出力 - 並べ替え
デフォルトの並び順となる項目を指定。レポートを表示した際、ここで指定した項目の順にデータは並ぶ - サブの並べ替え
グラフでディメンションと指標を組み合わせている場合に指定できる - デフォルトの日付範囲
いつから、いつまでのデータを出力するか指定。デフォルトは28日。カレンダをレポート上に設置して、ユーザが指定した期間のデータを出力する様に設定することもできる - フィルタ
指定条件に一致するデータのみを出力 - Google Analyticsのセグメント
Google Analyticsで作成したセグメントを指定することができる - Interactions
ユーザがグラフ内の項目を選択した時に、その詳細が表示される様にする。この項目は、Google Data Studioのマニュアルの説明が分かりやすい - 使用可能な項目
レポート上で選択しているグラフや表で使用できる項目の一覧。ここからドラッグアンドドロップで、ディメンションや指標に項目を設定できる
表に出力する項目の追加方法
表に「新規セッション率」を追加する手順は、以下の通りです:
- 「使用可能な項目」の検索条件に、「新規セッション率」と入力
- 検索結果「新規セッション率」を「指標に追加」にマウスで移動(ドラッグアンドドロップ)
- 表に、自動的に「新規セッション率」が追加
4. データのビジュアライズ(一覧化やグラフ化)
レポートには、表以外にも、円グラフや棒グラフを簡単に追加できます。ここでは、円グラフを追加します(円グラフに表示するデータの設定方法は、上記3と同じです):
レポートへのグラフ追加方法
レポートに円グラフを追加する手順は、以下の通りです:
- 「グラフを追加」を選択
- 「円グラフ」を選択
- 自動的に「円グラフ」が出力
5. レポートの表示・PDF出力・共有
作成したレポートの体裁を整えた後は、レポートの表示と関係者への共有ができます:
レポートの表示
レポートを表示する手順は、以下の通りです:
- レポートのタイトルを適切なものに修正
- 「表示」ボタンを押下し、レポートを表示
レポートの出力
「表示」ボタンを押下し、レポートを出力すると、以下の様なレポートが出力されます。画面右上の「編集」ボタンを押下すると、元のレポート編集画面へと戻ります。
レポートのPDF出力
レポート編集画面で、「ファイル」→「ダウンロード形式」→「PDF」を選択すると、レポートをPDFとして出力できます(その後の画面でパスワード設定も可能です)。
レポートの共有
レポートの共有は、画面右上の「共有」ボタンから設定できます。
【レポートの共有メニューで選択できる項目】
- 他のユーザーを招待
他のユーザーがレポートを閲覧するため設定ができる。表示だけか編集もできる様にするか、どちらかを選択できる - メール配信をスケジュール
レポートを毎日、特定の時間に送付する設定ができる - レポートへのリンクを取得
レポートにアクセスするためのリンクをコピーできる - レポートを埋め込む
レポートをiframeタグで埋め込むためのHTMLをコピーできる - レポートをダウンロード
レポートのPDF出力ができる
Google Data Studioの基本的な使い方(テンプレートを使用してレポートを作成する場合)
Google Data Studioには、テンプレートという、予めGoogleが用意したレポートがあります。テンプレートを活用することにより、効率よく必要なレポートを作成できます。
テンプレートを使用してレポートを作成する手順は、以下の通りです:
- Google Data Studioにアクセス
- テンプレート一覧からテンプレートを選択
- テンプレートを加工
- レポートの表示・PDF出力・共有
1. Google Data Studioにアクセス
この手順は、ゼロからレポートを作成する場合と同じです。
こちらからGoogle Data Studioにアクセスし、Googleアカウントでログインしてください。
2. テンプレート一覧からテンプレートを選択
Google Data Studioにログイン後、作成するレポートのベースとなるテンプレートを選択します。
テンプレートギャラリーへ移動
画面左「Templates」か画面右上「テンプレートギャラリー」を選択して、テンプレート一覧を表示します。「テンプレートを使って開始」の中に使用したいテンプレートがあれば、そこから選択してもOKです。
レポートのベースとなるテンプレートを選択
レポートのベースとなるテンプレート一覧が表示されます。この中からベースとしたいレポートを選択します。
今回は、画面右上の「Google Analytics Behavior Overview」レポートを選択します。
ベースとなるテンプレートを確定
画面にテンプレートで作成できるレポートが表示されます。実際に項目の値を変更して動作を確認できます。
一通り確認して、問題がなければ、画面右上の「テンプレートを使用」ボタンを押下します。
レポートに使用するデータソースの選択
最後にレポートに使用するデータソースを選択します。ダイアログのタイトルが「このレポートのコピー」となっており、分かりづらくなっていますが、ここはデータソースを選択するところですw
データソースは後でも追加・変更できるので、ここでは「レポートをコピー」ボタンを押下します。
3. テンプレートを加工
テンプレートを選択すると、テンプレートをコピーした新しいレポートが作成されます。
画面右上からベースとなるデータソースを変更できます(以下は、データソースの一覧を表示している状態)。
後は、必要な情報をテンプレートに追加して、レポートを完成させます。
4. レポートの表示・PDF出力・共有
作成したレポートの体裁を整えた後は、レポートの表示と関係者への共有ができます。操作手順は、ゼロからレポートを作成する場合と同じ手順となります。
Google Data Studioの更なる活用方法
更に詳しく学びたい方は、Google Data Studioのマニュアルサイトが役に立つと思います。
Google Data Studioの使用例として、Google AnalyticsとGoogle Search Consoleを一つのレポートにまとめてみました:
詳細は、こちらで説明していますので、もしよければ参考にしてください:
以上、Google Data Studioの使い方でした。
Google AnalyticsやGoogle Search Consoleのデータでは、自サイトが分析しづらい場合や競合サイトの情報も見たい場合は、SEOツールの使用をオススメします。
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