
Wiki racing(ウィキレーシング)とは、Wikipedia内のリンクだけをたどり、ある記事から別の記事へできるだけ早くたどり着くスピードを競う遊びです。英語圏では「The Wikipedia Game」「Wikipedia Maze」「Wikispeedia」「Wikiwars」「Wikipedia Ball」など複数の呼び名がありますが、遊び方は同じです。
この記事では、Wiki racing(ウィキレーシング)の基本ルール、勝つためのコツ、日本語で遊ぶときの注意点、そして関連記事のつながりを可視化できるvizwikiの活用方法までをまとめて説明します。
Wiki racing(ウィキレーシング)とは

Wiki racing(ウィキレーシング)は、Wikipediaのある記事(スタート記事)から始まり、Wikipediaの記事内にある内部リンクだけを使用して、目的とするゴール記事まで移動するゲームです。
ランダムに選ばれた2記事で遊ぶこともあれば、参加者が開始地点と到達地点を決めて遊ぶこともあります。
ゴール記事に到達するスピードを競うもの、クリック数を競うものや禁止ページを設けて難易度を上げる形式のものあります。
Wiki racingは、子供の教育によい影響を与えるものとして、Seattle Timesに紹介されたこともあります。
ゴール記事に到達するためには、スタート記事から抽象度を上げたり、下げたりして考える必要があり、これが子供の考える力の発達の一助になるといわれています。
Wiki racingの別名一覧

Wiki racingには、様々な呼び方があります。混乱を防ぐため、以下によくある呼び方(呼び名)を示します:
| 呼び方 | 位置づけ |
|---|---|
| Wiki racing | 最も一般的な呼び方 |
| ウィキ レーシング | 最も一般的な呼び方 |
| Wikispeedia | 研究・実験系サイト名としても知られる |
| The Wikipedia Game | 英語圏でよく使われる名前 |
| Wikipedia Maze | 英語圏でよく使われる名前 |
| Wikiwars | 英語圏でよく使われる名前 |
| Wikipedia Ball | 英語圏でよく使われる名前 |
基本ルール

Wiki racingのルールは単純で、開始するWikipedia記事の本文中にある内部リンクだけをたどって、目標記事に到達することです。
googleなどの外部検索やブラウザにURLを直接入力せずに進める点が、このゲームの面白さとなります。
場合により、ブラウザの検索機能、戻るボタン、関連性の強いと思われるWikipedia記事の使用を禁止する場合もあります(みんなで楽しむことに主眼を置き、ルールは柔軟に決められます)。以下に代表的なローカルルールを示します。
代表的なローカルルールの例
代表的なローカルルールとしては、以下があります。この様にローカルルールを決めて、目的の記事までの到達を競い合うことで、みんなでWiki racingを楽しめます。
- Ctrl+Fを使わない
- ブラウザの戻る操作(戻るボタンや「Altキー + 左キー」)を使わない
- 「United States」や「United Kingdom」のような強力に目的の記事と関連する記事へのアクセスを禁止する
- 最短クリック数か、最速到達時間のどちらで競うかを先に決める
Wiki racingの面白さ
Wiki racingの魅力は、まったく無関係に見えるテーマ同士が、実は数クリックでつながることを体感できる点にあります。歴史、地理、人物、科学、文化などの大きな話題がWikipedia内部で密接につながっているため、思いもよらない経路を発見でき、ユーザの知的好奇心を刺激します。
そういったことから、ゲーム性だけでなく、知識の広がりや記事構造への理解が深まることも、Wiki racingが人気である理由の一つとなります。
Wiki racingとは直接関係ありませんが「六次の隔たり」(Six Degrees of Separation)という考え方があります。知り合いの知り合いをたどっていくと、6人以内に世界中の誰にでもたどりつく、というものです。ハンガリーの作家「カリンティ・フリジェシュ」が1929年の小説『鎖』の中で取り扱い、知られる様になりました。
Wiki racingを勝つためのコツ
Wiki racingでは、目標記事そのものを直接探すより、まずは大きなハブ記事を発見することが重要です。ゴール記事が人物なら国・時代・職業、場所なら国・地域・行政区分、概念なら学問分野や上位概念にいったん上がると(抽象度を上げると)、ハブ記事に到達しやすくなることが多いといわれています。
また、ゴールに近づく一本道を探すより、複数の中継候補を頭に置いて、柔軟に切り替えると成功率は上がります。
中継点として考えやすい記事の例
以下の様な中継点は、多くのページからリンクされやすく、多くのページにつながるリンクが存在する傾向があります。抽象度を上げると、この様にリンクが多いページへアクセスできるので、コツは最初のキーワードから抽象度を上げ、中継点へアクセスし、その後、目的とするキーワードに近づけていく戦略が、勝つための近道となります。
- 国名や地域名
- 歴史上の大事件
- 学問分野(科学・文学・音楽など)
- 有名な人物カテゴリ(政治家、軍人、哲学者、映画監督など)
- 文化圏や言語圏を表す記事(東アジア・西洋文化、英語圏・フランス語圏など)
例えば、開始をSMAP、終了をエアインディアとした時、最短経路は以下となります:
SMAP→映画→ムンバイ→エアインディア
SMAPから抽象度を上げて、映画俳優(キムタク)ということを連想できれば、映画ページへ遷移して、その後インドの映画ボリウッド(インド・ムンバイ)→エアインディアという形で、目的のキーワードにたどり着くことができます。
Wikipediaを視覚的に探索できるvizwikiとは

vizwikiとは、Wikipediaの記事同士のつながりをグラフとして可視化し、関連トピックを探索しやすくするツールです。
気になるキーワードを起点に関連記事の広がりをたどれるため、あるテーマがどの分野や概念と結びついているかを直感的に把握しやすいのが特徴です。単に記事を読むだけでなく、トピック間の関係を眺めながら知識を広げたい人やWikipediaを新たな方法で探索したい人に向いています。
ここでは、vizwikiの使い方を説明します。
初期画面
まずvizwikiのサイトにアクセスしてください。

記事名の検索
検索したい記事名をテキストボックスに入力し、「Enter」キーか「検索」ボタンを押下します。
この時、記事名が完全に分からなくてもOKです。「豆腐」と入力→「Enter」キーを押下すると、「豆腐屋」や「豆腐店」など、豆腐を含む記事名も検索します。

記事検索
表示された記事一覧からいずれかを選択すると、「該当記事へ遷移できる記事」と「該当記事から遷移できる記事」が表示されます。以下の例では豆腐を選択した結果の画面を表示しています:

赤丸、緑丸、青丸と3つの丸と線が表示されますが、それぞれ以下の意味があります:
- 赤丸:該当記事
- 緑丸:該当記事へ遷移できる記事(入リンク)
- 青丸:該当記事から遷移できる記事(出リンク)
色から「該当記事へ遷移する記事」(緑丸)と「該当記事から遷移できる記事」(青丸)が分かる様になっています。
vizwikiでは、赤丸、緑丸、青丸をノードと呼んでいます。
グラフエリアの使い方
グラフ内の文字が小さくて見えない場合は、グラフを表示している枠内でマウスをスクロールすると、拡大・縮小できます。
また、枠内の白い部分をクリックしてドラッグすると、グラフ内を移動できます。
以下は、検索結果を左上に移動させ、少し拡大した後の図です:

ノードの移動
画面に表示されている「麻婆豆腐」ノードにマウスカーソルを当てます。
すると、どのノードを選択しようとしているか分かる様に、他の丸はグレーに、選択しているノードとリンクのあるノードのみを協調します。
以下の例だと、「豆腐」ノードがあり、そこからリンクしている麻婆豆腐ノードの2つを協調表示しています。

また、ノードは、左クリックしてドラッグすることにより、グラフ内の位置を変更できます。以下は、「麻婆豆腐」ノードを「豆腐」と関連ノードから離した状態です。

ノードの選択
「豆腐」ノードと関連する入リンク・出リンクから少し離した「麻婆豆腐」をクリックします。
以下の様に「麻婆豆腐」ノードの入リンク・出リンクが新たに表示されます。

ノードにひもづくWikipedia記事の確認
それぞれのノードは、Wikipediaの記事を表現しています。該当のノードの記事を確認したい場合は、ノード上で「右クリック」してください。Wikipediaの記事が表示されます。
以下は、「食文化」ノードで右クリックした直後の画面です。Wikipediaの記事は、スクロールして内容を確認できます。

スマホのブラウザで表示している場合は、ノード長押しで表示される「Wikipedia」を選択してください。以下は「麻婆豆腐」ノードを長押しして「Wikipedia」が表示された状態のスマホh画面です。

長押しした状態
スマホの場合は、スマホを横にして使用いただいた方がよくノードが見えます。
「Wikipedia」ボタンを選択すると、以下の様にスマホの場合は画面いっぱいにWikipediaの該当記事が表示されます。記事は普通のブラウザの様に読むことができます。

これにより、Wikipediaのサイトに遷移して、対象の記事を検索する手間が省けます。
注意事項
vizwikiは、該当記事へ遷移できる記事、該当記事から遷移できる記事すべてを表示しているわけではありません。
現時点では、それぞれ50記事までを表示する様にしています。
該当記事へ遷移できる記事、該当記事から遷移できる記事を全てグラフ化しようとすると、パソコン・スマホのスペックにより、表示が重くなります。そのため、現時点では検索した記事に対して、緑色、青色、それぞれ50記事までを表示できる様にしています。
また、スマホ版はノード数が増えれば増えるほど、操作性が悪くなります。そのため、スマホ版でも使用はできるものの、パソコン版Chromeでの使用を推奨します。
vizwikiはWiki racingの練習に使えるか

vizwikiは、Wikipediaの記事同士のつながりを可視化して探索できるツールです。気になるキーワードから関連する記事群を視覚的に「グラフ」としてたどれるのが特徴です。
Wiki racingの本番ルールで補助ツールの使用が禁止される場合には注意が必要ですが、練習用・研究用・発想用としてはかなり相性がよいと考えられます。
特にどの記事がハブになりやすいか、あるテーマがどの分野につながっていくかを事前に把握する用途では大変有効です。また、Wiki racing以外にも、Wikipediaの記事を探す新しい方法としてもお使いいただけます。
vizwikiの想定用途・使い方
vizwikiは、Wikipediaを興味の赴くままに調べるツールにも使えますが、それ以外にも、以下のように実用的な用途にも使えます:
- あるWikipediaの記事から関連分野がどう広がるかを把握したい場合
- 人物・国・学問・歴史などのハブ記事を見つけたい場合
- ブレインストーミング
- Wiki racingで、ゴール候補に近そうな中継トピックを探したい場合
- Wiki racingで、記事をその場で確認しながら、次に進むべき方向を考えたい場合
Wikipediaを読んでいると、これまでに思いもつかなかった意外な関連性がよく見つかります。この様な関連性を記事を読まずに、効率よくリンクの関連性から見つけることができるため、vizwikiはブレインストーミングの用途などにも使えます。
まとめ

Wiki racingは、Wikipediaの内部リンクだけで記事間を移動してゴール記事に到達する時間・クリック数を競う、シンプルながらも、奥の深いゲームです。一人でも複数人でも楽しむことができるため、ぜひ時間のある時にトライしてみてください。
また、本記事で紹介したvizwikiは、Wikipediaの記事間リンクを可視化して探索できるツールです。Wiki racingの練習や、関連記事の広がりを直感的に把握したいときに役立ちます。ブレインストーミングなどの用途にも使用できますので、vizwiki単体での活用をぜひ検討してみてください。
以上です。