Bright VPN(ブライトVPN)は「完全無料のVPN」です。
無料VPNは、ユーザのアクセスデータを業者に販売するため、おすすめしませんが、Bright VPNはアクセスデータの用途を明確にしているため、無料VPNの中では信頼できる部類に入ります。
結論からいうと、無料VPNの中では最強といえるでしょう。
本記事では、完全無料のBright VPNについて、なぜ無料なのか、本当に危なくないのか、どの範囲のアクセスデータが分析対象となるのか、有料VPNと比較した結果を説明します。
Bright VPNをまずはとにかく触りたい、という方はこちらからBright VPNのサイトへアクセスください。
Bright VPNの概要は以下の通りです:
同時に利用できる端末台数 | 10台まで |
サーバ数 | 1550 |
暗号化方式 | IKEv2 |
Killスイッチ | 未実装 |
スクリットトンネリング | 未実装 |
VPN速度 | △ |
対応OS | Windows OSのみ |
どこの国の会社? | アメリカ企業 |
操作性 | 〇 |
価格 | 無料 |
サポート |
安全な通信を実現するVPN
インターネットの普及に伴い、悪い人たちもインターネットを使用する様になりました。そういった人たちは、ネット環境を悪用して、色々と悪いことが簡単にできます。具体的には、公衆Wifi等の公の環境を使用すれば、以下の様なことが簡単にできます:
- 通信を盗み見る
- 通信の間に入る、ウィルスをダウンロードさせる
- パソコンをのっとる
公衆Wifiを使用した環境では、情報が抜き放題となり、非常に危険です。そんな時には、公衆Wifiでも「通信を暗号化」して、「安全な通信」を実現してくれるVPNが「心強い味方」となります。
VPNとは
VPNとは、Virtual Private Networkの略です。その名の通り、ネットワーク上に仮想の専用ネットワークを構築し、安全にデータのやりとりを行うための技術です。VPNには、大きく分けると、インターネットVPNとIP-VPNの2種類あります。
インターネットVPN
インターネットVPNとは、インターネット上にVPNを構築して、通信します。IP-VPNと比較すると、インターネット回線の速度に影響を受けますが、専用の機材は不要のため、安価でいて、確実に通信を暗号化できます。
IP-VPN
IP-VPNとは、通信事業者が保有する専用ネットワークを使用して通信します。企業内の拠点間(本社と支店間など)のネットワークを構築する際に使用します。専用の機材が必要となります。
Bright VPNは、インターネットVPNの一種です。
ブラウザのシークレットモードとの違い
ブラウザのシークレットモードは、通信を隠蔽(シークレット)してくれる印象を受けますが、実際はブラウザ内に閲覧履歴やクッキーを残さない設定です。
あくまでも、ブラウザ内だけの話であるため、通信に関しては、普通のブラウザと同じ様に隠蔽できません。一方、VPNは、ブラウザレベルでなく、もっと下の「通信レベル」で傍受されないための技術です。
ブラウザと通信は別物のため、単純に比較はできませんが、暗号化して安全な通信を実現するVPNの方がセキュリティは高いといえます。
VPNで実現できること
VPNを使用すると「安全な通信の実現」と「日本では閲覧不可のものを閲覧(Netflixのジブリ作品など)」できます。
公衆Wifiでも安全にインターネットに接続できる
VPNを使用すると、スマホやノートパソコンからVPNサーバまでの通信が暗号化されます。そのため、公衆Wifiを使用しても、安全にインターネットに接続できます。
特定の国では見れないサービスを使用できる(動画サービスなど)
VPNを使用すると、外部からは、接続元がVPNサーバと認識されます。VPNのこの特徴を使用すると、Geo-blocking(ジオブロッキング)を回避して、日本からは閲覧制限されているNetflixのコンテンツ等を閲覧できる様になります。
Geo-blockingは、アクセス元の地理的な位置情報に基づき、閲覧できるインターネットコンテンツを制限する技術です。
例えば、Netflixのジブリ作品などは、Geo-blockingにより、日本からは閲覧できません。この場合、日本のユーザがVPNを経由して、「ジブリ作品が閲覧できる国」(ドイツなど)からNetflixにアクセスすれば、該当のコンテンツを閲覧できる様になります。
Bright VPNは安心して利用できる無料VPN
VPNを使用すれば「安全に通信ができる」ことを分かっていただけたと思います。しかし、VPNツールも色々と種類があり、どれを選ぶか迷ってしまいます。
特に無料VPNは、VPN通信しているユーザのデータ(アクセスデータ)を抜き、業者に販売することで利益を得ています。そのため、基本的に無料VPNはおすすめしません。
では、なぜ本記事では無料VPN「Bright VPN」を説明しているのか。それは、他の無料VPNとは異なり、Bright VPNがデータを扱うポリシー(取得したデータをどの様に扱うか)を利用規約で明示しているためです。
他の無料VPNは、利用規約を確認すると、データを他社に提供する記載やVPNはベストエフォート(最悪暗号化されないかも)など、自社の都合のいい様に記載されています。利用規約は日本語訳が提供されない場合がほとんどですので、英語ができない方は、利用規約を意識したことすらないと思います。
反対に、Bright VPNは利用規約に「収集する情報」と「使用目的」を明記しています。また、Bright VPNを使用するには、ユーザアカウント(メールアドレス・パスワードなど)を登録する必要がないため、メールアドレスなどの個人情報はそもそもBright VPN側には分からない様になっています。
ここでは、更に深掘りしてBright VPNとはどういう企業なのか、またなぜ他の無料VPNと違うのかを説明します。
Bright VPNと同じ設立者がHola VPNというものを運用していますが、こちらはかなりの個人情報を収集しているため、使用はオススメしません。Hola VPNに関する詳細は「Hola VPNの危険性、評判、使い方を徹底解説!」をご確認ください。
Bright VPNとは
Bright VPNとは、Bright Data社の子会社が運営するVPNサービスです。Bright Data社は大手プロキシプロバイダです。プロキシとは、VPNの様に、プロキシサーバを経由してインターネットにアクセスする技術です。
Bright VPNは、他の無料VPNサービスと異なり、有料版がありません。
その代わり、Bright VPNを使用している人のインターネット回線を借りて、Bright VPN側がインターネットで調べ物ができる様になっています。
この点が、他の無料VPNプロバイダと大きく異なる点です。
Bright VPNが収集する情報
Bright VPNは、自社のクライアントからの依頼に基づき調査を行っており、Bright VPNユーザのアクセス履歴などの調査を行っている訳ではありません。
Bright VPNがクライアントのために、わざわざ他人のインターネット回線を借りて調べ物をする理由は、以下の通り5つあります:
- クライアント企業のブランド保護
- 価格調査
- 自社のAD(広告)調査
- SEO(サーチエンジン最適化)
- 学術研究
それぞれを詳しく説明します(Bright VPNの説明ページはこちらにあります):
クライアント企業のブランド保護
大手企業は、自社商品の偽物を販売しているサイトを常時監視しています。
Googleなどの検索エンジンは、アクセス元の国や言語にとって、最適になる様に調整されているため、グローバルに複数のロケーションから調査をすることが年々、難しくなっています。
そのため、Bright VPNは、世界中にいるユーザのインターネット回線を使用して、クライアント企業の偽物販売サイトがないかを効率的に調査できる環境を提供しています。
無料VPNの多くは、問答無用でアクセスしてきたユーザの情報を業者に販売しています。Bright VPNは、その様な無料VPNとは運営方針が大きく異なります。
価格調査
国により、サービスや商品の価格は変わるため、企業は国毎の価格を知りたがる傾向にあります。これは、企業がユーザにとって最適な価格を提供するためです。
Bright VPNは、特定の商品を世界中から検索し、最安のものを提供できるように、クライアント企業を支援しています。
自社のAD(広告)調査
企業側は、自社の広告が正しく、意図した通りに、ユーザに閲覧されているかを知りたがっています。せっかく作成した広告も、怪しい広告としてブラウザ上に表示されていると、売上に繋がらないためです。
Bright VPNは、クライアント企業が、一般のインターネットユーザとして自社の広告を「確認」するため、Bright VPNユーザのインターネット回線を使用しています。
SEO(サーチエンジン最適化)
Googleなどの検索エンジンは、アクセス元の国やロケーションにより、異なる検索結果が表示されます。
Bright VPNは、クライアント企業のため、異なるロケーションにいるユーザのインターネット回線を使用して、実際にGoogle検索を行い、検索結果を確認しています。
学術研究
学術研究では、大量のデータが必要となりますが、偏りのない大量のデータを収集することは簡単ではありません。
Bright VPNはクライアントが、AIなどの学術研究に必要なデータを簡単に収集できるようにするため、ユーザのインターネット回線を使用しています。
なお、詳細は後述しますが、Bright VPNは「ユーザの回線を通してアクセスしたサイトの確認」や「データ収集を不可とする時間帯」を指定できる様になっています。
Bright VPNが提供する機能
Bright VPNは無料VPNのため、所有するサーバ台数やアクセス可能な国の数は、有料VPNと比較すると劣ります。しかし、それでも、サーバ台数は1500台以上、アクセス可能な国の数は120と、豊富なリソースと接続先を確保しています。
また、所有しているサーバがどの国に設置されているかは「Bright VPN プロキシサーバーロケーション」で公表しています。
ここでは、Bright VPNを使用する際、どの様な機能があるのか(または有料VPNと比較してないのか)を説明します。
安心セキュリティ
Bright VPNは、収集するデータと使用用途を明確にしているため、無料VPNの中でも信頼できる数少ないVPNプロバイダの一つです。
ただ、ノーログポリシーを謳っていますが、アメリカ企業のため、アメリカ政府からの要請があれば、所有しているデータが開示される可能性があります。また、アメリカはファイブ・アイズの加盟国のため、他の加盟国とデータを共有する可能性があります。
これは、危険な用途で使用していなければ大きな問題にはならないでしょう。海外のジブリを閲覧する行為などは、現時点では処罰対象にはなっていません。
ファイブ・アイズの詳細に関しては「ファイブ・アイズ(Five Eyes) - 世界最強のインテリジェンス協定」をご確認ください。
使用できるデバイス
現時点では、Windows端末でのみ動作するVPNとなっています。Android版やiPhone版は、2023年6月時点では、提供されていません。将来的には、スマホ版もサポートされる可能性があります。
データ保護
Bright VPNは、通信の暗号化に最新の「IKEv2」を採用しています。暗号化速度は、有名なOpenVPNと比較すると若干遅いですが、それでも通信速度は十分に出ます。
ただ、他の有料VPNは、OpenVPNやWireGuard(もしくはWireGuardのカスタマイズ版)をサポートしているため、それと比較すると、暗号化オプションは少ないと言わざるを得ません。
通信は暗号化されるため問題ありませんが、場所によっては暗号化方式との相性がよくない場合もあるため(例えば、使用しているUDPポート500がブロックされている場合など)、今後更なる暗号化オプションをサポートすることが期待されます。
スプリットトンネリング機能は未提供
スプリットトンネリング機能とは、VPN通信を使用するアプリと通常のインターネット回線を使用するアプリを指定できる機能です。スプリットトンネリング機能があれば、Facebookにアクセスする際はVPN通信を使用して、通常のgoogle検索は普通のインターネット回線を使用する、という使い分けができます。
有料VPNは、どこも提供している機能ですが、Bright VPNではこの機能は提供されていません。
キルスイッチ機能は未提供
キルスイッチは、VPN接続が切断された場合は、インターネット接続をすべて切断する機能です。これにより、通信が暗号化されずにインターネット回線を通ることを事前に防ぐことができます。
こちらも有料VPNはどこも提供している機能ですが、Bright VPNではこの機能は提供されていません。
動画&ダウンロード
Netflixなど、一部の動画配信サービスでは、地域により閲覧できるコンテンツを制限している場合があります(例えば、ジブリは日本では配信されていません)。
現時点では、Bright VPNを使用して、Netflixのジブリ作品は日本からでも閲覧できる様になっています。ただ、BBCのiPlayerはブロックを解除できませんでした。
今後、Netflixが本腰を入れてBright VPNをブロックしてきた場合は、Netflixのジブリ作品なども、閲覧できなくなる可能性があります。
Bright VPNを使用する際に知っておきたいこと
前述の通り、Bright VPNは、無料で使用できる代わりに、Bright VPNのクライアントがユーザのインターネット回線を使用して、インターネットにアクセス・調査できる様になっています。
事前にこの様な仕組みであることを知っていればよいのですが、中には、Bright VPNがこの様な活動を行うとは知らずに、使ってしまうユーザが一定数います。
ここでは、Bright VPNを使用する前に知っておいた方がよい情報を説明します。
Bright VPNの設定により、ある程度制御できるため、制御方法を正しく理解して、快適にBright VPNを使用しましょう。
Bright VPNがインターネット回線を使用する時間帯の指定
Bright VPNユーザは、Bright VPNがインターネット回線を使用できない時間帯を指定できます。
連続した6時間まで指定でき(例:9:00 - 15:00)、Bright VPNは、該当の時間帯にはユーザのインターネット回線を使用しません。
以下設定では、10:00-16:00までの間、Bright VPNはユーザのインターネット回線を使用しません。
Bright VPNがインターネット回線を使用してアクセスしたサイトを確認する方法
ユーザは、Bright VPNがクライアントのためにアクセスしたサイトを確認できます。
以下設定では、アクセスしたサイトがないため、何も表示されていません。
アクセスを許可するクライアントの業界は指定できる
Bright VPNでは、ユーザの環境を通じて、インターネットにアクセスできる「業界」を指定できます(最低でも3業界を指定する必要があります)。
2023年6月時点で、アクセスできる業界は以下となっています:
- 大学
- 銀行
- eコマースサイト
- ヘルスケア
- SNS
外すとすれば、eコマースサイトとSNSがよいでしょう(ユーザの情報を積極的に抜こうとする業界のため)。
Bright VPNが勝手にVPN接続する現象について
Bright VPNは、インストール直後、いつの間にか勝手にVPNサーバに接続する様になっています。次回起動時から、自動接続はしなくなります。
自動起動が気になる方は、設定(Settings)で、自動起動をオフにしておきましょう。
また、本当に必要な時だけVPN接続する様にしましょう(パソコンの電池の減りが早くなったり、リソースを消費する可能性があるため)。
Bright VPNが収集する個人情報は、アメリカ政府に開示される可能性あり
繰り返しになりますが、Bright VPNは、アメリカ企業です。アメリカ政府からの要請があれば、所有しているデータが開示される可能性があります。また、アメリカはファイブ・アイズの加盟国のため、他の加盟国とデータを共有する可能性があります。
Bright VPNを法に抵触する様なことに使用した場合は、Bright VPNの使用権を失いますが、NetflixをVPN経由でアクセスするなど、通常使用する分には特に大きな問題にはならないでしょう。
Bright VPNの速度・評判
Bright VPNは、無料VPNです。そのため、通信速度は期待せずに使用した方がよいでしょう。
日本から日本国内のサーバに接続する分には、通信速度は大きく落ちませんが、アメリカなど離れた国のVPNサーバに接続すると、明らかに接続速度は落ちてしまいます。
ただ、使えないレベルではないため、通信速度が遅いときは、無料だと思って我慢しましょう。
Bright VPNは完全無料。VPNをフル活用したい場合は有料VPNの検討を!
Bright VPNは、完全無料で使用できるVPNです。今後の発展も期待できるVPNプロバイダであることは間違いありません。
他の無料VPNと大きく異なる点は、収集する情報やユーザのインターネット回線を利用して、ネット検索することを明記していること。しかし、上記の通り、VPNとしての通信速度や機能面では、有料VPNには勝てません。
高速な通信速度、ノーログポリシー、キルスイッチ、スプリットトンネリングなどを求める場合は、有料VPNを使用した方がよいでしょう。
有料VPNとしてのおすすめは、VPN最大手のNordVPNです。
NordVPNの詳細に関しては「NordVPNを徹底的に解説!」をご確認ください。
以上です。