ダークウェブとは、通常のChrome、FirefoxやEdgeなどのブラウザではアクセスできない、匿名性の高いエリアです。アンチウィルスソフト最大手のノートンは、ダークウェブを「多くの不正行為が行われる可能性のある匿名性の高いウェブ領域」と表現しています。
最近では、決済サービスを提供する「株式会社メタップスペイメント」がクレジットカード情報(クレジットカード番号、セキュリティコード)を流出させていますが、こうして流出したクレジットカード情報は、ダークウェブで取引をされて、更に被害が広がることが多くあります。
メタップス、不正アクセスやられ放題 最大46万件のカード番号やセキュリティコード流出か バックドアやSQLインジェクションの痕跡見つかる
2022年6月には、兵庫県尼崎市の全市民約46万人の個人情報が入ったUSBメモリーを紛失した事故がありました。後にUSBメモリーは発見されましたが、ダークウェブ上に情報が漏れていないかを確認する事態に発展しています。
いつ、どこで、自分の個人情報やアカウント情報が流出するか分かりません。残念なことに、ダークウェブ上で自分の個人情報やアカウント情報が出回っていることは、誰も教えてくれません(涙)。
しかし、「ダークウェブモニタリング」ツールがあれば、自分の情報がダークウェブに漏れているかをメールなどで通知してくれます。そのため、万が一、ダークウェブに情報が漏れていても、迅速にアクションを取ることができます。
本記事では、「ダークウェブモニタリング」ツールの使い方・活用方法とおすすめのダークウェブモニタリングツールをご紹介します。
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ダークウェブモニタリングとは
ダークウェブモニタリングツールとは、事前に登録した個人情報を基に、ダークウェブ上に個人情報が流出していることを検知して、通知してくれるツールです。対処法も教えてくれます。登録した個人情報データは、ダークウェブモニタリングツール提供ベンダが暗号化して保存しているため、安全です。
監視できる情報
ツールにもよりますが、一番監視項目の多いノートン ダークウェブモニタリングツールだと、以下の項目を監視してくれます:
- 銀行口座番号(10件)
- 保険証書番号(5件)
- ゲーマータグ(Xbox の世界におけるニックネーム)(10件)
- 電子メールアドレス(5件)
- クレジットカード番号(10件)
- 運転免許証
- 住所情報(5件)
- 電話番号(5件)
意外かもしれませんが、自分が何年か使用して最も多く流出した物は、メールアドレス(2件)でした。その他にも、クレジットカードが2018年に流出して、ダークウェブ上で取引されていました(ダークウェブモニタリングで検知後、クレジットカードの利用金額を見てみると、月末で100万円以上使われていました…)。
ダークウェブモニタリングの利用を検討した方がよい人
以下に該当する方は、ダークウェブモニタリングツールの利用を検討した方がよい人です:
- ダークウェブにアクセスしている人
- クレジットカード番号などが悪用された人
- その他、ダークウェブに個人情報が流出した疑いのある人
ダークウェブにアクセスしている人
ダークウェブにアクセスしている人は、Torブラウザを使用している方がほとんどです。Torブラウザは、ダークウェブへアクセスする手段は提供してくれますが、コンピュータウィルスなどの攻撃に対する保護機能は提供してくれません。
そのため、不用意にダークウェブにアクセスすると、コンピュータウィルスに感染したり、個人情報が抜かれてしまう危険性があります。そうならないためにも、予めアンチウィルスソフトとダークウェブモニタリングツールを入れた状態で、ダークウェブにアクセスしましょう。
クレジットカード番号などが悪用された人
クレジットカード番号がどこから流出したのか分からない場合は、ダークウェブに情報が漏れている可能性があります。また、クレジットカード番号が漏れているということは、名前や住所といった他の情報も漏れている可能性が高いと考えられます。
被害をこれ以上広めないためにも、アンチウィルスソフトとダークウェブモニタリングツールを入れた状態で、ダークウェブにアクセスしましょう。
クレジットカードが流出した場合の対処法は、後述していますので、そちらも併せて対応しましょう。
ダークウェブに個人情報が流出している疑いのある人
最近、怪しいスパムメールやSMSが増えたと感じる人は、ダークウェブに情報が漏れている可能性があります。ダークウェブに情報が漏れている場合は、一刻も早く対策を打つ必要があるため、アンチウィルスソフトとダークウェブモニタリングツールを入れる様にしましょう。
「ダークウェブモニタリング」の使い方と活用方法
「ダークウェブモニタリング」ツールの使い方と活用方法(対処法)を説明します。
流出を検知した場合の対処法
「ダークウェブモニタリング」ツールから個人情報流出の通知があった時、それぞれで対処法が異なります:
クレジットカード
クレジットカード番号が悪用された形跡があった場合、まずは、クレジットカード会社に電話して「クレジットカードを止めること」、不正利用された加盟店(Google Play、App Storeなど)が分かる場合は「連絡して不正利用分を取り消し」てもらいましょう。
自分は、Google Playで「1か月で100万円以上が不正利用された」ことがあったのですが、Google Playの下記連絡先から問い合わせをしたところ、すぐに対応してくれました。また、その半年前にも一度だけ不正利用があったのですが、それに関しても取消をしてくれました。
App Storeの不正利用の報告先:https://support.apple.com/ja-jp/HT201382
Google Playの不正利用の報告先:https://support.google.com/googleplay/answer/2851610?hl=ja
運転免許証
独立行政法人 国民生活センターには、運転免許証が悪用された事例が載っています。
「アンケートに答えるアルバイトに応じたら勝手に借金されていた!-見ず知らずの相手に運転免許証の画像を撮らせたり、キャッシュカードの暗証番号などを伝えたりしてはいけません-」
「消費者へのアドバイス
独立行政法人 国民生活センター HPより抜粋
1.アルバイトの報酬の支払いのためだと言われても、見ず知らずの相手に運転免許証の画像を撮らせたり、銀行口座番号やキャッシュカードの暗証番号などを伝えたりしないでください
2.不審な勧誘を受けた場合や、身に覚えのない借金に気が付いた時には、すぐに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう」
上記の通り、運転免許証を悪用された結果、身に覚えのない借金を背負う可能性があります。身に覚えのない借金に気が付いた場合は、まずは消費者生活センターに問い合わせしましょう。
電子メールアドレス
電子メールアドレスが漏れた場合は、該当メールのパスワードをすぐに変えましょう。また、ログインを2段階認証に設定していない場合は、今すぐにでも、2段階認証に設定しましょう。2段階認証を設定していれば、スマホや別のメールアドレスがなければログインができなくなるため、安全です。
その他
流出した情報の問い合わせ先に連絡をして、対応方法を確認しましょう。例えば、保険番号がダークウェブに漏れていた場合は、その旨を保険会社に説明して、今後の対応について相談しましょう(別の保険番号を発行してくれるはず)。
おすすめの「ダークウェブ モニタリング」ツール
ここでは、おすすめの「ダークウェブモニタリング」ツールをご紹介します。「ダークウェブモニタリング」ツールは、アンチウィルスソフト以外に、VPNソフトにも付いています。実際に電子メールアドレスだけの検知度を確認した結果、VPN系のツールの方が、検知精度が高いという結果になりました。ただ、ノートンの方が電子メールアドレス以外にも、多くの項目を検知できるため、おすすめです。
NordVPN(検知件数:2件)
ノートン(検知件数:1件)
ノートン
アンチウィルス最大手のNorton LifeLock社が提供するソフトです。「ノートン 360 デラックス」か「ノートン 360 プレミアム」には、アンチウィルスソフトとダークウェブモニタリングツールがセットとなっています。監視できる項目が一番多いため、オススメです。
- 銀行口座番号(10件)
- 保険証書番号(5件)
- ゲーマータグ(Xbox の世界におけるニックネーム)(10件)
- 電子メールアドレス(5件)
- クレジットカード番号(10件)
- 運転免許証
- 住所情報(5件)
- 電話番号(5件)
監視できる項目
- 銀行口座番号(10件)
- 保険証書番号(5件)
- ゲーマータグ(Xbox の世界におけるニックネーム)(10件)
- 電子メールアドレス(5件)
- クレジットカード番号(10件)
- 運転免許証
- 住所情報(5件)
- 電話番号(5件)
NordVPN
NordVPNは、ダークウェブモニタリングツール付のVPNソフトウェアです。
VPNソフトウェアとは、「通信を暗号化」して、「安全な通信」を実現してくれる「心強い味方」です。実際に使用してみたところ、ダークウェブ上の流出データを検知してくれた数が、ノートンとトレンドマイクロのダークウェブモニタリングよりも多く、信頼できると感じました。しかし、監視できる項目としては、電子メールアドレスのみとなるため、クレジットカード番号が流出したかは確認できません。
トレンドマイクロ
トレンドマイクロのパスワードマネージャは、以下の項目を監視してくれます。スマホ(Android、iPhone)用のアプリのみとなります。
監視できる項目
- 銀行口座番号(5つまで)
- クレジットカード番号(10まで)
- 電子メールアドレス(5つまで)
- 運転免許証番号
- パスポート番号
ダークウェブモニタリングで更なる被害の拡大を抑えましょう
最近では、ダークウェブも世間に認知されてきました。ダークウェブそのものは、匿名性の高い空間というだけで、犯罪専用のエリアではありません。しかし、残念なことに、何らかの理由で流出した情報がやりとりされる場所となっています。
先ほど紹介した尼崎市のUSB紛失の様に、いつ自分の情報が流出するか分からない時代です。
今は、世界的に流出した情報を検知する仕組みがないため、「ダークウェブモニタリング」ツールを使用して、自分の身は自分で守りましょう。
最後に、繰り返しになりますが、以下に該当する方は「ダークウェブモニタリング」ツールの利用を検討した方がよいでしょう:
・ダークウェブにアクセスしている人
・クレジットカード番号などが悪用された人
・その他、ダークウェブに個人情報が流出した疑いのある人
以上です。